わっでぃー!タイ大好き歴20年越え、ブラジル在住のぴょんぴょ子です。
今回は、タイ人同士がよく名前の前につけているタイ語“アイ”について解説します。
2020年に大ヒットしたタイBLドラマ『2gether』を観た知人から、「サラワットがたまにアイ・サラワットとかアイ・ワットとかアイ・ヒア(シアー)って聞こえるんだけど何?愛なの??」と聞かれました。
字幕では「Wat」や「Sarawat」とだけ表示されるのに、音では「アイ・ワット」、「アイ・サラワット」と聞こえるシーン、確かにありますね。同じくサラワットの運命の相手タインにおいても「アイ・タイン」と聞こえるのに字幕ではナチュラル「Tine」になっていることもありますよね。
また、「アイヒア」「アイサット」「アイニー」など、人名以外のタイ語にもアイが乱発されていることにお気づきの方も多いのではないでしょうか。
他のタイドラマやタイ映画、実際のタイ人同士の会話にも頻出する“アイ”。「一体この“アイ”ってなんやねん!!!」という疑問を解決すべく、簡単にご紹介します!
※ヒア(ヒヤー、ヒアー等)やシア(シヤーシアー、等)についてはこちらの別記事をご参照ください。
1.“アイ”とは男性の蔑称?!
タイ語では基本的にはไอ้(場合によってไอとも。正式にはอ้ายとの説も。)と表記し、基本の声調は下声なのでアが高音、イが低音で発音されます(日本語の“神”や“意味”といった単語の標準語のイントネーションと同じです)。
日本人からは“愛”とも聞こえて可愛らしい響きの“アイ”ですが、これは実は男性や雄の蔑称なのです。
ただ、蔑称といっても、本当に蔑んで使用することもあれば、仲の良い友達同士で“アイ”をつけて呼び合ったり、目上・年上の者が年下に対して親しみを込めて使用することも多々あります。
例えば、タイドラマ『2gether』のサラワットとタイン(以下サラタイ)の間においては、ストーリーの前半では前者のように見受けられるケースもあります。が、ストーリーが進むにつれて、基本的には後者のように使用されています。
日本語では会話の中で第3者の名前に蔑称を付けて呼ぶことはあっても、直接その相手と話す際に同じ蔑称を付けて呼ぶことがないので訳すのが難しいですが、無理矢理「アイ サラワット」を日本語に例えるなら“サラワットのヤツ”、“サラワットの野郎”、“おいサラワット”といったところです。
また現代では、性別に関係無く物に使用することもあれば、ある単語の強調として使用する場合もあります。
このように“アイ”は気の知れた仲間うちの会話では頻繁に耳にする言葉です。ただし、きれいな言葉ではないので、TPOは弁えて使われています。
よっぽどタイ語がペラか、お互いを理解し合えている間柄ではない限り、外国人がタイ語ネイティブに対して使用するのは控えた方がいいかもしれません。
2.“アイ”の使用例
まぁタイ語非ネイティブが自らの口から“アイ”を発する機会は多くはないとは思いますが、使用例を紹介します。
1.でもちらりと触れましたが、この“アイ”は、2人称に対しても使用できる一方で、第3者の名前や物にも使用することができます。アイを単体で使うことはなく、基本的にはアイ+名詞で使用します。
また、よく使われる俗語にもアイが使用されることがあります。この場合、スラングで形容された人への蔑称として使用されるだけでなく、スラングの強調としても使用されます。
タイで生活していなくても、タイドラマでもよく聞く言葉なので、覚えておいても損はありません。
但し!とても汚い言葉なので、使用にはご注意ください。くれぐれも目上、年上の人に使用するのは絶対にやめましょう。
ヒアやシアについてはこちらの記事でもう少し詳しく紹介しておりますので、気になる方はご参照ください。
3.ちなみに女性の蔑称は“イー”
アイは男性や雄の蔑称ですが、女性や雌の蔑称も存在し、“イー(อี)”を使用します。
使用方法も“アイ”と同じですが、同じくきれいな言葉ではないので、使用時は要注意です。
タイドラマの中でもタイBLだとなかなか耳にする機会は少ないとは思いますが、もし聞こえても理解できる程度には覚えておくと楽しめますね!
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以上、タイドラマの世界をもっと楽しめるようになる、現実世界では非実用的な豆知識でした〜。
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