ぼんじーあ!
サンパウロ生活は楽しいけど治安がイヤ!チキンのぴょんぴょ子です。
ブラジルに引っ越してきたばかりの頃、ブラジル人のお友達から「ハリー・ポッターに出てきそうな駅でしょ!」と案内された魅力的な駅がありました。
その駅とは…サンパウロの中心地にあるルス駅(Estação da Luz)です!
あまり治安がいい場所ではなく、写真に収めたい衝動を抑えて目に焼き付けたのを今でも覚えています。
そんなルス駅を先日改めて訪れる機会があり、運よくちょっとだけシャッターを切るができました。
ハリー・ポッターの世界感があるかどうかは個人の感想になりますが、今回はルス駅についてちょっぴりご紹介したいと思います!
※日本語だとたまにルズ駅なんて表記されますが、今回はポルトガル語の音に近い方のルス駅で記載を統一しますね。
1.ルス駅とは
今回ご紹介するルス駅は、20世紀初頭にサンパウロ大都心に造られた鉄道駅のこと。
現在でも多くの利用者がいるサンパウロの主要駅の1つで、1982年には駅全体が重要文化財にも認定されており、経済的にも文化的にも重要な場所です。
ルス駅についてこの項目でもう少し詳しく紹介していきますが、「ハリー・ポッター感のある写真とやらを早く見せてよ」って方はお先にそちらの項目へお飛びくださいまし。
ルス駅誕生の背景
現在のルス駅は1901年に完成しましたが、ルス駅自体が誕生したのは1867年。
当時はコーヒー産業が盛んで、コーヒー農園のあるサンパウロの奥地からサンパウロの港町サントスまでの運搬方法が課題となっていました。鉄道で結ぶ、という案が出ても、サンパウロは高低差の激しい山が連なっていることもあり、高度な技術が求められていたんです。
そこで当時最先端の鉄道技術を持つイギリスを頼り、1867年、サンパウロで初めての鉄道を開通させることに見事成功。
イギリス資本のサンパウロ・レイルウェイカンパニー(São Paulo Railway Company 略称:SPR、直訳:サンパウロ鉄道会社)によって誕生した画期的なこの路線は、サンパウロ内陸地のジュンジアイと港のあるサントスを結んでいました。その距離およそ159km。
この路線の経由地こそが、サンパウロの中心地であるルス駅だったのです。
コーヒー産業が栄え都市が発展するにつれ、ルス駅の利用者や搬送する物の量も増加。
駅は徐々に拡張を続け、1901年に現在のルス駅の形になりました(厳密には、現在に至るまでの間に火事などによる修復作業が行われたので、完成当時のものとイコールではないです。後述ご参照)。
イギリス風の外観
☝︎コチラが現在のルス駅の外観。
※写真は車の中から撮ったためこんな色調ですが、実際にはオレンジ色や、黄色に近いクリーム色がもっとハッキリとしてます。治安があまりいい場所ではなく、歩きながらスマホを出すのを断念しました。
現在のルス駅の原案は、1901年3月、イギリスの建築家チャールズ・ヘンリー・ドライバー(Charles Henry Driver)氏によって手掛けられました。チャールズ氏はイギリス国内をはじめ、あらゆる鉄道駅の建設に携わったその道のエキスパート。こだわりが強かったのか、完成したルス駅の、釘から屋根の鉄骨部分まで建設に使用したほぼ全ての材料が、英国から輸入したものだったそうです。
建物の構造がロンドンのウェストミンスター寺院に似ていたり、時計台がロンドンのビッグベンに似ていたりするのも、その影響だと言われています。
サンパウロ州のビッグベンのある街として有名なパラナピアカバの記事でもチラっと触れましたが、前述の通り、サンパウロ初の鉄道はイギリスの資本を受けて出来上がったもの。サンパウロで一番大きいとされている時計台があることでも有名な隣駅(ジュリオ・プレスチス駅)もしかり、サンパウロの鉄道関連の至る所でイギリスの色が強いのにはそのような背景が関連しているのかもしれませんね。
鉄道駅とメトロ駅
ルス駅は「サンパウロ初の鉄道」が通る鉄道駅として紹介してきましたが、現代でもサンパウロ中心地と郊外を結ぶ鉄道駅として現役で稼働しています。
そして1975年にはブラジル初のメトロが開通。ルス駅の地下に「ブラジル初のメトロ」が通る地下鉄駅ができたのです。
今ではメトロ2線(青ライン・黄ライン)と鉄道とをつなぐ乗り換え駅としても、多くの人々の生活を支えています。
ポルトガル語博物館が併設
2006年には、ルス駅構内に博物館がオープンしました。
その名もポルトガル語博物館(Museu da Língua Portuguesa)!
名前の通りポルトガル語に関する博物館で、ポルトガル語自体の言語的分析やブラジルにおけるポルトガル語の歴史など、内容は言語学のような専門的なもの。にもかかわらず展示がポップで視覚的にもわかりやすく、楽しく学べるミュージアムになっています。
基本的に8歳以上は有料ですが、毎週土曜は無料で入場できます。また、オンラインでチケットを購入するとサッカー博物館のチケットが半額になったりするキャンペーンもやっています。
割引チケットの詳細は公式サイトやチケット購入ページをご覧あれ。
過去に2度の大火事
博物館まで兼ね揃えたルス駅ですが、実は2度も火災に見舞われています。
1度目の火事は、1946年。サンパウロ鉄道会社との80年に及ぶ契約が切れたタイミングだったそう。
この火事の修復時に本館が1フロア増設され、1947年にブラジル政府に買収されました。
2度目の火災は、2015年とまだまだ記憶に新しい出来事。ポルトガル語博物館が建てられた後の火事で、博物館は焼失。
修復作業にも時間を要し、博物館が再開したのはつい2021年のこと。
もうこれ以上焼けないでほしいものです。
ルスとは光を意味する
火事で2度焼けても今も尚復活を遂げてきたルス駅。
このルス(Luz)という単語はポルトガル語で“光”という意味を持っています。
冒頭でルス駅は「ハリーポッター感がある」とお伝えしたので、この記事を読んでくれているあなたは少なからずハリポタに興味があるかとお見受けいたします。そんなあなたに、「ルス = 光」 と覚える為のピッタリの語呂合わせをプレゼント。
「ルーモス、光よ!」
ちゃんちゃん〜ちゃらんちゃ〜ん、ちゃんちゃ〜〜〜ん、ちゃ〜〜〜ん、ちゃん・ちゃら〜〜ん、ちゃんちゃ〜〜〜(©︎ジョンウィリアムス)
2.ハリーポッター感がある?
さて、ここまでの内容で、ルス駅は [ 歴史のあるイギリス風の駅 ] ということが理解いただけたかと思います。
では本当にハリーポッター感があるか、となるとどうでしょう?
名前はさておき見た目はというと、上の写真のように外観に関しては、イギリス感はあってもそこまでハリポタ感はないですよね。(ハリポタのシリーズによってはイギリス名所も映るので、そーゆー意味ではハリポタ感ありますが。)
そう、実はハリポタ感があるとブラジル人に言われたのは、駅の中なんです。
駅構内のプラットフォームまわりが、ハリーたちをホグワーツ城へと運ぶホグワーツ鉄道の出発駅【キングスクロス駅】にそっくりなんですよ!!!
プラットフォームの上の歩道からの画
実際にぴょんぴょ子がブラジル人から案内された「ハリポタ的景色」というのがこれ!☟
線路をまたぐ形で橋のようになっている歩道があり、そこから見渡すプラットフォームが既視感ありまくり。
そしてその橋のような歩道というのもこんな感じ!☟
どうですか!!
橋から見えるプラットフォームも、線路をまたぐ橋自体も、ハリポタ感溢れてますよね!!
「え〜、ハリポタにこんなんあったかね」なんて思ったそこのあなた。
ハリポタが足りてませんね。ハリポタを浴びてください。
1作目の前半だけでもいいですから、今すぐに。
「うわぁ〜!ハリポタだぁ〜!ぶらぁでぃいへる!!」となったあなた、同志よ!!
(ちなみにぴょんぴょ子はルパートグリント推し⭐︎うふ)
その状態で是非とも映画『ハリー・ポッターと賢者の石』を観返してみてください。ハリーとハグリットがキングスクロス駅に到着するシーン(開始30分過ぎあたり)がルス駅に見えるはず!
ポルトガル語博物館側からの画
そしてこちらはポルトガル語博物館側から撮ったもの☟
これまたハリー・ポッターのにおいがプンプンしちゃってます。
う〜ん、よき。
ちなみにこの記事のトップに貼ったサムネイル画像は、アメリカのテーマパーク、ユニバーサル・スタジオ内部と思われるフリー素材です。
ルス駅は9と4分の3番線って看板こそついてませんが、ユニバのレプリカよりハリポタ味を帯びていますよね。
3.スリ多発につき要注意
さて、ハリポタ感のあるルス駅の雰囲気をお楽しみ頂けましたでしょうか?
写真の数が少ないのはぴょんぴょ子が治安ビビリーだから故、どうかお許しを。
そう、ルス駅はスリや強奪などが多発している場所なんです。なのでカメラやスマホなんかを手に撮るのもビクビクものでして、オススメはしません。
どうしても写真撮りたい、というのであれば、博物館側からの撮影の方がまだ良きかと。橋の上からの方がポさは強めかもしれませんが、ぴょんぴょ子が撮影した博物館側からの場所は、基本的には博物館へ入場する為のチケットを購入した人が集まるスペースなんです。チケット購入者の中には賊らしき賊がいなかったのと、博物館のスタッフの目が(その時は)あったので、まだ無法地帯よりかはマシなのかな、と思った次第です。博物館が無料で入場できる日はもしかしたらまた雰囲気は違うかもしれないので現場の空気感と直感で判断を。安全第一でよろしゅうたのみます。
そして外観を撮る際も要注意。
ルス駅は人が多く行き交う他、駅周辺にはクラコランジアがあるなど治安もよろしくなく、訪れる際は警戒が必要です。
じゃあビビリーでチキンのぴょんぴょ子がこの周辺を訪れる際は、どうやってるのか?というと、必ず信頼できるブラジル人のお友達と一緒に行動しております。コロナ禍以降では、どうしてもその方面に用がある時なんかは、安全を優先してハイヤーサービスを利用したりもしてます。
☟ぴょんぴょ家御用達のニッポンハイヤーさん、オススメです。
行かれる際はどうかご安全に!
4.まとめ・感想
まとめるとこんな感じ☟
そしてこの記事を書きながらふと思ったこととしては、同じようなアーチ型で包まれたプラットフォームって、どこもハリポタ感出てるのでは?ということ。
これ☟とかたまたま撮ってたアムステルダムの駅の写真ですが、ハリポタ味ゼロではない気が。
タイの首都バンコクにあるフアランポーン鉄道駅なんかも、イタリア人建築家によって建てられたアーチ型の駅で、ハリポタ感がうっすらあるっちゃあるんですよねーと。
よければググってみてくさい。iphoneの写真フォルダ遡って探したけど、超超お世話になったフアランポーン駅を撮った写真が1枚もなかったもので、参考画像なしですんません。
要は、ハリポタの駅(=ロンドンのキングス・クロス駅)に似たところなんて、世界中にけっこうな数あるんじゃないかな、と思ったわけですよ。
そんなわけなので、ルス駅はたしかにハリポタ感あるけども、世界中にたくさん似たような駅はあるんだから、危険を冒してまでしてルス駅へ写真を撮りに行かなくてもいいのではないかと。
もちろん行けば感動はあるけどね。無理をなさらずに〜。
では、ちゃおTchau!
参考:https://www.vivadecora.com.br/pro/estacao-da-luz/,https://arteforadomuseu.com.br/estacao-julio-prestes/
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