こんにちは!ブラジル好き歴10周年、ぴょんぴょ子です。
今回は、ブラジルのスーパーでは必ずといってもいいほど見かける“Yoki”についてご紹介します。
このYokiは、穀物をメインに扱うブラジル生まれの食糧品ブランドの1つで、「ブラジルの家庭の9割には何かしらのYokiの商品が置いてある」と言われている程ブラジルでは非常にポピュラーなブランドなのです。
日本でも、ブラジル人街などでは目にすることができ、最近ではネットでも手に入ります。
Yokiというブランド名、ブラジルにおいてYやKを使用する単語なんて珍しく、何か引っかかりますよね。“Yoki”と書かれた横に、日本人ならヨキと読める“与喜”と漢字で書かれているのも気になります。
「本当にブラジルのブランドなの?」「ヨキって読み方、もしかして日本語?」など、Yokiの気になる情報をご紹介して参ります!
ただし!第5項目だけは、毛色の変わるショッキングな話なので、苦手な方は読み飛ばしてくださいね。
1.Yoki(与喜)の意味
Yokiの公式ウェブサイトによると、Yoki(与喜)というブランド名にはどうやら2通りの意味があるようです。
①日本語で“幸せ”、“実現”“、“満足感”“、“繁栄”の意
②ブランド創業者の氏名の頭文字を取ったもの
①は、和訳した為 分かり難くなりましたが、公式ウェブサイトの原文では“Felicidade, realizações, bem-estar, prosperidade”(参照:https://www.yoki.com.br/nossa-historia/ )と書かれています。
大まかに、日本語で同じ響きである “良き” の意味と、与喜の其々の漢字の持つ “喜びを与える” といった意味合いを含むように解釈できます。
果たして、何故日本語なのでしょうか?それは②にも関連があるので、次の項目に進みましょう。
2.ブランド創業者は日系ブラジル人
Yokiのブランド名の由来ともなった創業者は、なんと1960年にブラジルに渡った日本人(今でいう日系ブラジル人)だったのです。
名前はYoshizo Kitano(北野ヨシゾウ)氏。
Yokiは、Yoshizoの “Yo” 、Kitanoの “Ki” から誕生していたんですね。
ブランド名の意味に日本語が関係しているのも、創業者が日系1世であったということで納得がいきます。
3.Yokiブランドが生まれるまで
Yokiブランドの起源は、Kitano氏が1960年代にブラジルのサンパウロ市で始めたビジネスでした。
Kitano氏は穀類、穀粉、調味料を扱い、70年代にKitanoブランドを立ち上げます。
事業の一部が80年代後半に当時のRefinações de Milho Brasil社(現Ingredion Brasil)に買収されるも、90年代初頭に、Yoki Alimentos S/Aとして再出発しました。
そこで生まれたのがYokiブランドです。
4.現在は米国食糧企業の傘下
Yoki Alimentos S/Aは創業者一族を中心とした家族経営、いわゆるファミリービジネスで拡大していきました。
しかし、2012年、世界で5番目に大きいとされる、アメリカの食品会社General Mills社に約20億レアルで買収されることになります。
買収された今でも、Yokiは良きブランドとして、ブラジルの家庭を中心に愛されています。
5.Yokiにおきた悲劇 ※閲覧注意
順風満帆そうに見えるYokiブランドの一族ですが、実は2012年に大悲劇に見舞われていたのです。
2012年5月、創業者の孫である、当時の取締役が射殺され、バラバラ死体となって発見されたのです。(参考;https://canalcienciascriminais.jusbrasil.com.br/artigos/571938342/caso-yoki-a-morte-de-marcos-kitano-matsunaga “esquartejar“を辞書で引くと ”四つ裂きにする”と出て来ますが、実際はどうやら6つに解体されたようです。)
時期がGeneral Mills社に買収されるタイミングであること、買収にあたり一族内で方向性の違いによる問題があったとされること、被害者がバラバラに切り裂かれたさまが素人の成せる技には見えない見事なクオリティであったこと…
コナン君じゃなくても、「あれれ〜、おっかしいなぁ〜?」となるような怪しい点が、多々あったのです。
でも結局、犯人は被害者の妻で、動機は被害者の浮気、とのことで事件は一区切りついたようです。
妻がアパートのエレベーターで3つのスーツケース(中に何が入っていたのかこそ見えないものの)を運び出した姿が防犯カメラに残っていたこと、そして妻本人が自供したことから、この事件に幕が降りた模様。バラバラ具合のハイクオリティなさまも、妻が元医療関係者であった為に成しえたとされています。
2016年まで続いた裁判で、妻は約20年の懲役を言い渡されました。
この事件はCaso Yoki(和訳:Yoki事件)として知られ、Brasil Onlineが選ぶ“ブラジルにショックを齎した22の事件”にリストアップされてしまう程、ブラジルでも有名な残酷な事件の1つに数えられています。(参照:https://www.bol.uol.com.br/listas/relembre-22-crimes-que-chocaram-o-brasil.htm)
ちなみに、『Yoki・picadinho ※』で検索すると、この事件のコラ画像が出て来ます。Yokiの商品パッケージに、被害者の顔が印字され、あたかも新製品を装った “被害者の肉入り” 商品風の画像です。画像は貼りませんが、気になる方は検索するか、リンクから飛んでご覧ください。
※picadinho(ピカジーニョ)とはブラジルの料理の1つで、picar(意味:細かく切る、みじん切りやサイコロ型にする)された野菜やお肉のトマト煮込みの料理です。また、picadinhoには、picarされた、というそのまんまの意味もあります。
Yokiが食糧品メーカーとしての高い知名度、また、人が切り刻まれたという衝撃さ故に、このようなクソコラ画像が生み出されてしまったのでしょう。
6.Yokiが扱う商品
こんな悲しい事件があっても、Yokiは今でも、どのスーパーにも並ぶ必需品的ブランドで、穀類を中心に600以上もの商品を展開しています。
ブラジル料理には欠かせない、mandioca (マンジョッカ)と呼ばれるキャッサバを原料としたpolvilho(ポウヴィーリョ)やtapioca(タピオカ)、farofa(ファロッファ)*を筆頭とするあらゆる穀物や穀粉、そして、ゼラチン類、完成形のパンやスナック、スープなどの様々な食糧品を取り扱っています。
(*ポウヴィーリョはブラジルのチーズパンこと pão de queijo (ポン・ジ・ケージョ)の材料としても知られるキャッサバ粉です。farofaは炙ったキャッサバの粉の混合物で、ブラジルでは塩やスパイス類と混ぜて炙ったものを、肉などと一緒に食べます。タピオカは、そうです、あのタピオカの原料でもあるタピオカ粉です。)
ブラジルの家庭の9割にYokiの商品がストックされている、というのも容易に想像できるお話ですね!
また、電子レンジで作れるYokiの即席ポップコーンは、便利なのに出来立ての美味しいポップコーンを食べることができる画期的な商品として大人気です。ポップコーン用の豆が紙袋で包装されており、そのまま電子レンジで数分加熱するだけでポップコーンが作れる商品なのです。そもそも、世界で初めて電子レンジで作るポップコーンを作ったのは、Yokiブランドを抱えるGeneral Mills社なのだとか。
とにかく、ブラジル人でYokiの名を聞いたことがない人はいない、と言っても過言では無さそうです。
ーーーーーーーーーーーー
いかがでしたか?
ぴょんぴょ家も、ポン・ジ・ケージョやポップコーンを作る際に必ずお世話になっているのがYokiさんです。
そんなYokiについて、少しでも知ってもらえたら私もハッピーです!
そしてありがとうYoki!これからも良きブランドでいてください!
コメント
実に細かく、色々調査をし記事を書いていらっしゃってとても面白いです。
ニカさん、初めまして。素敵なコメントをありがとうございます!